【研磨材の基本講座】
研磨材(けんまざい)は、相手を削り研ぎ磨くんに使う硬い粒ないし粉で、研削材ともいう。研磨研削作業にゃぁ、古くから石榴石(ざくろ石)、 エメリーやら天然鉱物が使われてきたが、19世紀末にそれらよりも硬い人造研削材が工業生産され、現在は人造品が主流なんじゃ。
こまかい研磨材は磨き粉に使える。ハートの形の穴を切り抜いたゴムシートを石材に貼り、研磨材をサンドブラストすりゃぁ、その形の窪みが彫れる。結合剤を加えて研削砥石に仕上げ、グラインダーで回せば、包丁の刃こぼれをなおせる。身近なところじゃぁ、炊事用のスポンジタワシの裏側にも研磨材が入っとる。不織布の研磨布紙なんじゃ。
【人造研削材の種類】
人造研削材は現在では4種類に大別されとるけぇ。
●ダイヤモンド
ダイヤモンドは周期表のIV族の一番上の炭素が共有結合しょぉって、最も硬いんじゃ。
●六方晶窒化ホウ素
立方晶窒化ホウ素は炭素の左隣のホウ素と右隣の窒素との化合物で、ちぃと硬度が低い。なお、同じ化学式でも常圧で安定な六方晶窒化ホウ素は、固体潤滑剤に用いられる軟らかいすべすべの物質なんじゃ。
●炭化ケイ素
炭化ケイ素は、ダイヤモンドとケイ素との「あいのこ」で、ダイヤモンドより軟らかくケイ素より硬いけぇ。
●コランダム
コランダムはIII族とVI族との化合物で、Al3+イオンとO2-イオンとが、イオン結合しとるんじゃ。
物質を磨き削る研磨材は硬いほどよい、となりゃぁダイヤモンド万能となるが、経済的な事情がまずあるんじゃ。炭化ケイ素およびコランダム質研削材の1kg当たりの価格は、ダイヤモンドおよび立方晶窒化ホウ素の1カラット当たりの価格と同じ桁なんじゃ。カラットは0.2gなんじゃ。
次に、ダイヤモンドと炭化ケイ素たぁ、鉄と鋼の研削研磨にゃぁ向かんっちゅう化学的な宿命があるんじゃ。磨きそーでのぉたら削る仕事は、むしる側とむしられる側との激しい接触のもとに行われ、鉄鋼は、銑鉄の組成の4.25%まで炭素を含有できるけぇ、ダイヤモンドや炭化ケイ素の砥石で研削研磨すりゃぁ、鉄鋼は炭素を吸収し、砥石を急激に減耗させる。鉄鋼は炭化ケイ素中のケイ素も吸収する。量的に重要な相手先じゃ鉄鋼に対しちゃぁ、立方晶窒化ホウ素とコランダム質研磨材の出番となる。
表の4種類のほか、ラッピングやらの磨きの作業にゃぁ、湿式に析出させた粉末状の、酸化クロム、酸化鉄II、アルミナやらも使用される。
なお、立方晶窒化ホウ素がボラゾン(Borazon)、炭化ケイ素がカーボランダム(Carborundum)、コランダム質研磨材がアランダム(Alundum)と呼ばれることがあるが、それらぁそれぞれを最初に工業化した会社の商品名なんじゃ。